2BC 第1章
式と証明・高次方程式
式を見て思うこと〜定番の発想パターン集〜
Point 2BC 1.1.1 【重要】特徴のある式を見たときの発想パターンまとめ
発想①次数を下げる → ②文字を減らす → ③特徴に合った式処理で攻める
・対称式は、基本対称式で表せ!
\(x^2+y^2-3 x y=\class{mathkuu}{\underline{(x+y)^2-5 x y}} \)
\[x^3+y^3+z^3-3xyz=\class{mathkuu}{\underline{(x+y+z)\left\{(x+y+z)^2-3(x y+y z+z x)\right\}}}\]
・同次式は、\(\dfrac{x}{y}=t\)と置換せよ!
\(x^2-a x y+2 y^2 \geqq 0\ (y\mathrel{\bcancel{\mkern-8mu=\mkern-8mu}} 0)\) は、\(\class{mathkuu}{\underline{\left(\dfrac{x}{y}\right)^2-a\left(\dfrac{x}{y}\right)+2 \geqq 0}}\)で、
\(\dfrac{x}{y}=t\) とおくと、\(t^2-a t+2 \geqq 0\) と1変数化!
・相反式は、\(x+\dfrac{1}{x}=t\)と置換せよ!(トマト・しんぶんし型の相反方程式など)
\(x^4-2 x^3+3 x^2-2 x+1=0\)は、代入により\(x\mathrel{\bcancel{\mkern-8mu=\mkern-8mu}} 0\) であることがわかるので、
\(x^2-2 x+3-\dfrac{2}{x}+\dfrac{1}{x^2}=0\)と変形できる。
(係数が\(1,-2,3,-2,1\)と回文になっている=「トマト」「しんぶんし」のように前から読んでも後ろから読んでも同じ並びになっていることに注目)
\[x+\dfrac{1}{x}=t \text { とおくと、 }\left(x^2+\dfrac{1}{x^2}=t^2-2 \text { から }\right) \quad t^2-2 t+1=0\]
※相反式のような逆数の和(\(\left( ○+\dfrac{1}{○}\right)\))は相加相乗と相性がよいことも頭に入れておく。
・分数式は、割り算して(分母の次数)>(分子の次数)にせよ!
\[\dfrac{x^2}{x-1}=\dfrac{(x-1)(x+1)+1}{x-1}=x+1+\dfrac{1}{x-1}\ と割り算して分子の次数を下げる\]
・サイクリックな式は、辺々\(\pm\)せよ! (\(y=f(x),\ x=f(y)\)など)
\( \begin{cases} y=x^2-x \cdots ①\\ x=y^2-y \cdots ② \end{cases} \) は、 \( \begin{cases} (x+y)=(x^2+y^2)-(x+y) \quad & \leftarrow ①+②より\\ -(x-y)=(x-y)(x+y)-(x-y) \quad & \leftarrow ①-②より \end{cases} \)
・比例式は、\(=k\)と置け! (\(\dfrac{A}{B}=\dfrac{C}{D}=\dfrac{E}{F}\)のとき\(\dfrac{A}{B}=\dfrac{C}{D}=\dfrac{E}{F}=k\)と置く)
チェバ,メネラウスなどでもでてくる\((分数)=(分数)\)の形の式を,比と見ることも忘れない!比例定数を置くイメージで,\(=k\)と置いてみよう!
Point 2BC 1.1.2 対称式
\(x,yの式で、xとyを入れかえても同じ式になるものを対称式という。\)対称式ときたら・・・
ex.) \[x^2+y^2=(x+y)^2-2xy,\quad x^3+y^3=(x+y)(x^2-xy+y^2)\ \mathrm{or}\ =(x+y)^3-3xy(x+y)\]
※3変数\(x, y, z\)の場合は、基本対称式\(x+y+z, xy+yz+zx, xyz\)で表す!
※対称式は,すべて基本対称式で表せることが知られている。
基本対称式\(x+y, xy\)で表せ!
ex.) \[x^2+y^2=(x+y)^2-2xy,\quad x^3+y^3=(x+y)(x^2-xy+y^2)\ \mathrm{or}\ =(x+y)^3-3xy(x+y)\]
※3変数\(x, y, z\)の場合は、基本対称式\(x+y+z, xy+yz+zx, xyz\)で表す!
※対称式は,すべて基本対称式で表せることが知られている。
Point 2BC 1.1.3 相反式は\(x+\frac{1}{x}\)をカタマリで扱う!
相反式ときたら・・・\(x+\dfrac{1}{x}\)のカタマリで表せ!↓ 例
\[x^2+\dfrac{1}{x^2}=\class{mathkuu}{\underline{\left( x+\dfrac{1}{x}\right)^2}}-\class{mathkuu}{\underline{2}},\ x^3+\dfrac{1}{x^3}=\class{mathkuu}{\underline{\left( x+\dfrac{1}{x}\right)^3}}-\class{mathkuu}{\underline{3\cdot \cancel{x}\cdot \cancel{\dfrac{1}{x}}\left( x+\dfrac{1}{x}\right)}}\]
また、\(x^{\frac{1}{2}}+x^{-{\frac{1}{2}}}\)や\(x^{\frac{1}{2}}-x^{-{\frac{1}{2}}}\)は、2乗すると、\(x+x^{-1}+2\)や\(x+x^{-1}-2\)となるのもよく使う。
また、\(x^{\frac{1}{2}}+x^{-{\frac{1}{2}}}\)や\(x^{\frac{1}{2}}-x^{-{\frac{1}{2}}}\)は、2乗すると、\(x+x^{-1}+2\)や\(x+x^{-1}-2\)となるのもよく使う。
Point 2BC 1.1.4 相反式と相加相乗
相反式\(\left( ○+\dfrac{1}{○}\right)\)は相加相乗と相性がよい!
Point 2BC 1.1.5 相加平均と相乗平均の関係
\(a>0\), \(b>0\)のとき、
\[\class{mathkuu}{\underline{a+b\geqq 2\sqrt{ab}}}\]
\[等号成立は\class{mathkuu}{\underline{a=b}}のとき\]
※いつ使えばいいかわからないですとよく言われるが,「最小(大)値を求めよ」や「とりうる値の範囲を求めよ」というワードで反応するとよい!特に分数関数の最大最小が出てきたら真っ先に候補にしたい(特に文系で有効。理系は微分してグラフでゴリ押しすることもできる)。相加相乗の立ち位置としては,最大最小問題で使える3つの有名不等式のうちの1つ!詳しくは図形と方程式Point2.7.1(最大最小問題の全体像)等で。
展開と因数分解
Point 2BC 1.2.1 展開の公式まとめ(数\(\rm I\hspace{-.01em}I\)を含む)
\[\begin{aligned}
(a+b)^2&=\class{mathkuu}{\underline{a^2+2 a b+b^2}}\\
(a-b)^2&=\class{mathkuu}{\underline{a^2-2 a b+b^2}}\\
(a+b)(a-b)&=\class{mathkuu}{\underline{a^2-b^2}}\\
(x + a)(x + b) &= \class{mathkuu}{\underline{x^2 + (a + b)x + ab}}\\
(ax + b)(cx + d) &= \class{mathkuu}{\underline{acx^2 + (ad + bc)x + bd}}\\
(a+b+c)^2&=\class{mathkuu}{\underline{a^2+b^2+c^2+2ab+2bc+2ca}}\\
(a+b)^3&=\class{mathkuu}{\underline{a^3+3 a^2 b+3 a b^2+b^3}}\\
(a-b)^3&=\class{mathkuu}{\underline{a^3-3 a^2 b+3 a b^2-b^3}}\\
(a+b)\left(a^2-a b+b^2\right)&=\class{mathkuu}{\underline{a^3+b^3}}\\
(a-b)\left(a^2+a b+b^2\right)&=\class{mathkuu}{\underline{a^3-b^3}}\\
\end{aligned}\]
Point 2BC 1.2.2 因数分解の公式まとめ(数\(\rm I\hspace{-.01em}I\)を含む)
\[\begin{aligned}
a^2+2 a b+b^2&=\class{mathkuu}{\underline{(a+b)^2}}\\
a^2-2 a b+b^2&=\class{mathkuu}{\underline{(a-b)^2}}\\
a^2-b^2&=\class{mathkuu}{\underline{(a+b)(a-b)}}\\
x^2+(a+b) x+ab&=\class{mathkuu}{\underline{(x+a)(x+b)}}\\
acx^2 + (ad + bc)x + bd&=\class{mathkuu}{\underline{(ax + b)(cx + d)}}\quad (たすき掛け) \\
a^3+b^3&=\class{mathkuu}{\underline{(a+b)\left(a^2-a b+b^2\right)}}\\
a^3-b^3&=\class{mathkuu}{\underline{(a-b)\left(a^2+a b+b^2\right)}}\\
【発展】 x^3+y^3+z^3-3xyz&=\class{mathkuu}{\underline{(x+y+z)(\color{blue}{x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx})}}\\
\color{blue}{x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx}&=\class{mathkuu}{\underline{\dfrac{1}{2} \left \{ (x-y)^2+(y-z)^2+(z-x)^2 \right \}}}\\
\end{aligned}\]
Point 2BC 1.2.3 因数分解の手順
STEP.1 共通因数でくくる
STEP.2 似た形は置き換える
STEP.3 最低次数の文字で整理するor登場回数の少ない文字
ex.)
\[x^2+xy+x+2y-2=\class{mathkuu}{\underline{(x+2)(x-1)+y(x+2)}}=\class{mathkuu}{\underline{(x+2)(x+y-1)}}\](\(y\)の次数が最低・登場回数も最少)
他にも、2乗の差が作れないかなど確認する。(複2次式)
ex.)
\[x^4+x^2+1=\class{mathkuu}{\underline{(x^2+1)^2-x^2}}=\class{mathkuu}{\underline{(x^2+x+1)(x^2-x+1)}}\]
STEP.2 似た形は置き換える
STEP.3 最低次数の文字で整理するor登場回数の少ない文字
ex.)
\[x^2+xy+x+2y-2=\class{mathkuu}{\underline{(x+2)(x-1)+y(x+2)}}=\class{mathkuu}{\underline{(x+2)(x+y-1)}}\](\(y\)の次数が最低・登場回数も最少)
他にも、2乗の差が作れないかなど確認する。(複2次式)
ex.)
\[x^4+x^2+1=\class{mathkuu}{\underline{(x^2+1)^2-x^2}}=\class{mathkuu}{\underline{(x^2+x+1)(x^2-x+1)}}\]
恒等式・整式の割り算の基盤
Point 2BC 1.3.1 二項定理
\[
(a+b)^n=\class{mathkuu}{\underline{{ }_n \mathrm{C}_0 a^n+{ }_n \mathrm{C}_1 a^{n-1} b+{ }_n \mathrm{C}_2 a^{n-2} b^2+\cdots \cdots+\color{red}{{ }_n \mathrm{C}_r a^{n-r} b^r}+\cdots \cdots+{ }_n \mathrm{C}_n b^n}}
\]
において, \(a=1, b=x\) とすると,
\[
(1+x)^n={ }_n \mathrm{C}_0+{ }_n \mathrm{C}_1 x+{ }_n \mathrm{C}_2 x^2+\cdots \cdots+{ }_n \mathrm{C}_n x^n
\]
この等式に \(x=1\) を代入すると,
\[
2^n=\class{mathkuu}{\underline{{ }_n \mathrm{C}_0+{ }_n \mathrm{C}_1+{ }_n \mathrm{C}_2+\cdots \cdots+{ }_n \mathrm{C}_n}}
\]
※二項定理は、\(n\)個の掛け算のうちどの項を何個選ぶかの組み合わせの話と認識しよう
Point 2BC 1.3.2 多項定理
\((a+b+c)^n\) の展開式における \(a^p b^q c^r\) の項は、
\[
\class{mathkuu}{\underline{\dfrac{n !}{p ! q ! r !} a^p b^q c^r}}\quad \text { ただし } p+q+r=n
\]
※二項定理同様、\(n\)個の掛け算のうちどの項を何個選ぶかの組み合わせと理解しよう
Point 2BC 1.3.3 恒等式問題の解き方
恒等式(すべての\(x\)で成り立つ式)ときたら\(\cdots\)
- 係数比較法
- 数値代入法(必要条件で絞る解き方のため、逆の確認が必要)
Point 2BC 1.3.4 すべての\(k\)について成り立つときたら・・・
「方程式がすべての\(k\)について成り立つ」, 「\(k\)の値によらず通る点」ときたら・・・
→\(k\)について整理!
→\((kの係数)=0\), \((それ以外)=0\)
→\(k\)について整理!
→\((kの係数)=0\), \((それ以外)=0\)
Point 2BC 1.3.5 分母をはらったあとも恒等式?
教科書にある例題で,「等式 \(\dfrac{3x - 5}{(2x - 1)(x + 3)} = \dfrac{a}{2x - 1} + \dfrac{b}{x + 3}\) が \(x\) についての恒等式となるように,定数 \(a, b\) の値を定めよ。」という問題がある。これに対し,「与えられた等式が \(x\) についての恒等式ならば,その両辺に \((2x - 1)(x + 3)\) を掛けて得られる等式\(3x - 5 = a(x + 3) + b(2x - 1)\)も \(x\) についての恒等式である。」という記述で解答が始まるのだが,高校1年生のときにこの記述がずっと納得できなかった。解答の主張はすなわち,最初は定義域になかった\(x=-3,\ \dfrac{1}{2}\)を分母をはらったあとの式に代入してもよいということであるが,これは下の代数学の基本定理と呼ばれる定理の一部で説明ができる。
「\(n\)次の多項式を0にする値を\(n+1\)個見つけたら,その多項式は恒等的に0。」これを利用すると,分母をはらったあとの多項式は,少なくとも\(x=-3,\ \dfrac{1}{2}\)以外のすべての実数では恒等的に成り立つ事から,\(x=-3,\ \dfrac{1}{2}\)を代入しても成り立つといえる。これは多項式の連続性にも関連している。
「\(n\)次の多項式を0にする値を\(n+1\)個見つけたら,その多項式は恒等的に0。」これを利用すると,分母をはらったあとの多項式は,少なくとも\(x=-3,\ \dfrac{1}{2}\)以外のすべての実数では恒等的に成り立つ事から,\(x=-3,\ \dfrac{1}{2}\)を代入しても成り立つといえる。これは多項式の連続性にも関連している。
等式・不等式の証明の基盤
Point 2BC 1.4.1 数式の表す意味〜数式を日本語に〜
\(a,b,c\):実数のとき
【応用編】
- \(ab>0\):\(\class{mathkuu}{\underline{a>0かつb>0}}\) または \(\class{mathkuu}{\underline{a<0かつb<0}}\)
→「\(a\)と\(b\)は同符号」! - \(ab=0\):\(\class{mathkuu}{\underline{a=0またはb=0}}\)
→「少なくとも一方が0(両方0も可)」! - \(ab \mathrel{\bcancel{\mkern-8mu=\mkern-8mu}} 0\):\(\class{mathkuu}{\underline{a \mathrel{\bcancel{\mkern-8mu=\mkern-8mu}} 0かつb \mathrel{\bcancel{\mkern-8mu=\mkern-8mu}} 0}}\)
→「0は無い」! - \(a^2+b^2=0\):\(\class{mathkuu}{\underline{a=b=0}}\)
→「両方0確定」!(\(\because\)有名不等式:\((実数)^2 \geqq 0\)) - \(abc=0\):\(\class{mathkuu}{\underline{a=0またはb=0またはc=0}}\)
→「少なくとも1つが0」! - \(abc \mathrel{\bcancel{\mkern-8mu=\mkern-8mu}} 0\):\(\class{mathkuu}{\underline{a \mathrel{\bcancel{\mkern-8mu=\mkern-8mu}} 0かつb \mathrel{\bcancel{\mkern-8mu=\mkern-8mu}} 0かつc \mathrel{\bcancel{\mkern-8mu=\mkern-8mu}} 0}}\)
→「0は無い」! - \(a^2+b^2+c^2=0\):\(\class{mathkuu}{\underline{a=b=c=0}}\)
→「全部0確定」!(\(\because\)有名不等式:\((実数)^2 \geqq 0\))
【応用編】
- \((a-〇)(b-〇)(c-〇)=0 \iff \class{mathkuu}{\underline{a,b,cのうち少なくとも1つが〇}}\)
- \((a-〇)^2+(b-〇)^2+(c-〇)^2=0 \iff \class{mathkuu}{\underline{a,b,cすべてが〇}}\)
Point 2BC 1.4.2 等式の証明
等式\(\mathrm{A}=\mathrm{B}\)の証明ときたら・・・原則,3通り!
- \(\mathrm{A}-\mathrm{B}=0\)を示す。
- A(複雑な方)を変形してBに。
- AをCに,BをCに,と別の同じ式Cに変形
Point 2BC 1.4.3 不等式の証明のまとめ
等式\(大\geqq 小\)の証明ときたら・・・
→原則:\(大-小\geqq 0\)を示す!
(i)の例)因数分解を考える
(ii)の例)2乗の和を作る(平方完成)
(iii)の例)関数と見て,最小値\(\geqq 0\)を示す
(iv)の例)有名不等式利用(相加相乗平均など)
→原則:\(大-小\geqq 0\)を示す!
-
方針立てのテクニックは・・・
- やっぱりまずは因数分解を考える。(積の形を作る)
- 2乗の和を作る。(平方完成)(\((実数)^2\geqq 0\)利用)
- 関数と見て、最小値\(\geqq 0\)を示す
(その際グラフは比べやすいグラフで比べる) - 有名不等式利用(\((実数)^2\geqq 0\),相加相乗、コーシー・シュワルツ、三角不等式 etc...)
※他にも,整数や数列など自然数\(n\)に関する不等式では代入して実験,帰納法なども。
(i)の例)因数分解を考える
任意の実数\(x\)に対して,\(\sin x\cos x+2\cos x-\sin x-2\leqq 0\)が成り立つことを示せ。
\[(左辺)=\cos x(\sin x+2)-(\sin x+2)=(\cos x-1)(\sin x+2)\] \(-1\leqq \sin x\leqq 1\)より\(\sin x+2>0\)は常に成り立つ。また\(-1\leqq \cos x\leqq 1\)より\(\cos x-1\leqq 0\)。
よって\((負または0)\times(正)\leqq 0\)より,与式が成り立つ。(このように常に正(負)となる因数を括り出すと,調べる対象を減らせる)
\[(左辺)=\cos x(\sin x+2)-(\sin x+2)=(\cos x-1)(\sin x+2)\] \(-1\leqq \sin x\leqq 1\)より\(\sin x+2>0\)は常に成り立つ。また\(-1\leqq \cos x\leqq 1\)より\(\cos x-1\leqq 0\)。
よって\((負または0)\times(正)\leqq 0\)より,与式が成り立つ。(このように常に正(負)となる因数を括り出すと,調べる対象を減らせる)
(ii)の例)2乗の和を作る(平方完成)
任意の実数\(x,y\)に対して,\(x^2-xy+y^2\geqq 0\)が成り立つことを示せ。
\(x\)の2次式とみて平方完成すると, \[x^2-xy+y^2=\left(x-\dfrac{1}{2}y\right)^2+\dfrac{3}{4}y^2\] \(x,y\)は実数なので\(\left(x-\dfrac{1}{2}y\right)^2\geqq 0\)かつ\(\dfrac{3}{4}y^2\geqq 0\)。よって和も0以上(等号成立は\(x=y=0\)のとき)。
\(x\)の2次式とみて平方完成すると, \[x^2-xy+y^2=\left(x-\dfrac{1}{2}y\right)^2+\dfrac{3}{4}y^2\] \(x,y\)は実数なので\(\left(x-\dfrac{1}{2}y\right)^2\geqq 0\)かつ\(\dfrac{3}{4}y^2\geqq 0\)。よって和も0以上(等号成立は\(x=y=0\)のとき)。
(iii)の例)関数と見て,最小値\(\geqq 0\)を示す
\(x\geqq 0\)のとき,\(x^3+2\geqq 3x\)が成り立つことを示せ。
\(f(x)=x^3-3x+2\)とおくと,\(f'(x)=3x^2-3=3(x-1)(x+1)\)。\(x\geqq 0\)における\(f(x)\)の増減を調べると,\(x=1\)で最小値\(f(1)=\class{mathkuu}{\underline{0}}\)をとる。よって\(x\geqq 0\)で\(f(x)\geqq 0\),すなわち\(x^3+2\geqq 3x\)が成り立つ。
\(f(x)=x^3-3x+2\)とおくと,\(f'(x)=3x^2-3=3(x-1)(x+1)\)。\(x\geqq 0\)における\(f(x)\)の増減を調べると,\(x=1\)で最小値\(f(1)=\class{mathkuu}{\underline{0}}\)をとる。よって\(x\geqq 0\)で\(f(x)\geqq 0\),すなわち\(x^3+2\geqq 3x\)が成り立つ。
(iv)の例)有名不等式利用(相加相乗平均など)
\(a>0\)のとき,\(a+\dfrac{4}{a}\geqq 4\)が成り立つことを示せ。
\(a>0\)より\(\dfrac{4}{a}>0\)であるから,相加相乗平均の関係より \[a+\dfrac{4}{a}\geqq 2\sqrt{a\cdot \dfrac{4}{a}}=\class{mathkuu}{\underline{4}}\] (等号成立は\(a=\dfrac{4}{a}\)かつ\(a>0\),すなわち\(a=2\)のとき)
\(a>0\)より\(\dfrac{4}{a}>0\)であるから,相加相乗平均の関係より \[a+\dfrac{4}{a}\geqq 2\sqrt{a\cdot \dfrac{4}{a}}=\class{mathkuu}{\underline{4}}\] (等号成立は\(a=\dfrac{4}{a}\)かつ\(a>0\),すなわち\(a=2\)のとき)
方程式・不等式
Point 2BC 1.5.1 複素数の相等
\(a, b, c, d\) は実数とする。
\[
a+b i=c+d i \iff \class{mathkuu}{\underline{a=c かつ b=d}}
\]
\[特に、a+b i=0 \iff \class{mathkuu}{\underline{a=0 かつ b=0}}\]
Point 2BC 1.5.2 \(\sqrt{(負の数)}\)を見たら・・・
\[※\sqrt{-3} \times \sqrt{-5}=\sqrt{(-3)(-5)}=\sqrt{15}は間違い。(詳しくは指数対数の章)\]
\[正しくは、\: \sqrt{-3} \times \sqrt{-5}=\sqrt{3}i \times \sqrt{5}i=-\sqrt{15}\]
\[\color{red}{\sqrt{-1}の形を見たらすぐに i \: に直そう!}\]
Point 2BC 1.5.3 判別式
2 次方程式 \(a x^2+b x+c=0\) がどんな解をもつ?
⇒判別式 \(D=b^2-4ac\) について、次のことが成り立つ。 \[ \begin{aligned} & D>0 \iff \text { 異なる } 2 \text { つの実数解をもつ } \\ & D=0 \iff \text { 重解をもつ } \\ & D<0 \iff \class{mathkuu}{\underline{2つの共役な虚数解をもつ}} \end{aligned} \]
⇒判別式 \(D=b^2-4ac\) について、次のことが成り立つ。 \[ \begin{aligned} & D>0 \iff \text { 異なる } 2 \text { つの実数解をもつ } \\ & D=0 \iff \text { 重解をもつ } \\ & D<0 \iff \class{mathkuu}{\underline{2つの共役な虚数解をもつ}} \end{aligned} \]
Point 2BC 1.5.4 共役な複素数解
実数係数の2次方程式が虚数解\(p+qi\)をもつとき、その共役な複素数\(p-qi\)も
2次方程式の解である。
※同様に実数係数であれば,このことは2次方程式だけでなく一般の\(n\)次方程式で成り立つ。
2次方程式の解である。
※同様に実数係数であれば,このことは2次方程式だけでなく一般の\(n\)次方程式で成り立つ。
Point 2BC 1.5.5 解と係数の関係
\(2次方程式 ax^2+bx+c=0 の2つの解を \alpha, \beta とすると、\)
\[\alpha +\beta =\class{mathkuu}{\underline{-\dfrac{b}{a}}}, \quad \alpha \beta =\class{mathkuu}{\underline{\dfrac{c}{a}}}\]
\(3次方程式 ax^3+bx^2+cx+d=0 の解を \alpha, \beta, \gamma とすると、\)
\[\alpha +\beta +\gamma =\class{mathkuu}{\underline{-\dfrac{b}{a}}}, \quad \alpha \beta +\beta \gamma +\gamma \alpha=\class{mathkuu}{\underline{\dfrac{c}{a}}}, \quad \alpha \beta \gamma =\class{mathkuu}{\underline{-\dfrac{d}{a}}}\]
Point 2BC 1.5.6 整式の割り算
\(整式P(x)を整式f(x)で割ったときの商がQ(x)で余りがr(x)ならば,\)
\[P(x)=\class{mathkuu}{\underline{f(x)Q(x)+r(x)}}\qquad ただし,(f(x)の次数)\class{mathkuu}{>}(r(x)の次数)\]
Point 2BC 1.5.7 剰余の定理
・整式 \(P(x)\)を\(x - \alpha\)で割ったときの余りは,\(\class{mathkuu}{\underline{P(\alpha)}}\)に等しい。
・\(P(x)\)を\(ax + b\)で割ったときの余りは,\(\class{mathkuu}{\underline{P\left( -\dfrac{b}{a} \right)}}\)に等しい。
・\(P(x)\)を\(ax + b\)で割ったときの余りは,\(\class{mathkuu}{\underline{P\left( -\dfrac{b}{a} \right)}}\)に等しい。
Point 2BC 1.5.8 因数定理
・整式 \(P(x)\) が \(x - \alpha\) を因数にもつ \(\Longleftrightarrow P(\class{mathkuu}{\underline{\alpha}}) = \class{mathkuu}{\underline{0}}\)
・\(P(x)\) が \(ax + b\) を因数にもつ \(\Longleftrightarrow P\left( \class{mathkuu}{\underline{-\dfrac{b}{a}}} \right) = \class{mathkuu}{\underline{0}}\)
・\(P(x)\) が \(ax + b\) を因数にもつ \(\Longleftrightarrow P\left( \class{mathkuu}{\underline{-\dfrac{b}{a}}} \right) = \class{mathkuu}{\underline{0}}\)
Point 2BC 1.5.9 \((x-○)^2\)で割った余り
重解もつ場合は条件足りない→与式から\((x-○)\)を無理やり作り,\((x-○)\)を除いた恒等式を考えるなど工夫せよ!
もしくは,微分法を利用せよ!(多項式の恒等式を微分したものも恒等式)
もしくは,微分法を利用せよ!(多項式の恒等式を微分したものも恒等式)
例)\(x^{10}\)を\((x-1)^2\)で割った余りを求めよ。
\(x=(x-1)+1\)と見て2項定理を使うと,
\[x^{10}=\{(x-1)+1\}^{10}={}_{10}\mathrm{C}_0(x-1)^{10}+{}_{10}\mathrm{C}_1(x-1)^9+\cdots+{}_{10}\mathrm{C}_9(x-1)+{}_{10}\mathrm{C}_{10}\] 右辺のうち\((x-1)^2\)以上の項は全て\((x-1)^2Q(x)\)の形にまとまるので,残るのは末尾の2項だけ。
\[x^{10}=(x-1)^2Q(x)+{}_{10}\mathrm{C}_1(x-1)+{}_{10}\mathrm{C}_0=(x-1)^2Q(x)+\class{mathkuu}{\underline{10x-9}}\] (無理やり\((x-1)\)を作り出して2項定理でまとめる工夫)
【別解(数\(\rm I\hspace{-.01em}I\hspace{-.01em}I\)範囲)】\(P(x)=x^{10}\)として\(P(x)=(x-1)^2Q(x)+ax+b\)とおくと,\(P(1)=1=a+b\)。両辺を\(x\)で微分すると\(P'(x)=10x^9=2(x-1)Q(x)+(x-1)^2Q'(x)+a\)となり,\(x=1\)を代入して\(a=P'(1)=10\)。これと\(a+b=1\)より\(b=-9\)。
\(x=(x-1)+1\)と見て2項定理を使うと,
\[x^{10}=\{(x-1)+1\}^{10}={}_{10}\mathrm{C}_0(x-1)^{10}+{}_{10}\mathrm{C}_1(x-1)^9+\cdots+{}_{10}\mathrm{C}_9(x-1)+{}_{10}\mathrm{C}_{10}\] 右辺のうち\((x-1)^2\)以上の項は全て\((x-1)^2Q(x)\)の形にまとまるので,残るのは末尾の2項だけ。
\[x^{10}=(x-1)^2Q(x)+{}_{10}\mathrm{C}_1(x-1)+{}_{10}\mathrm{C}_0=(x-1)^2Q(x)+\class{mathkuu}{\underline{10x-9}}\] (無理やり\((x-1)\)を作り出して2項定理でまとめる工夫)
【別解(数\(\rm I\hspace{-.01em}I\hspace{-.01em}I\)範囲)】\(P(x)=x^{10}\)として\(P(x)=(x-1)^2Q(x)+ax+b\)とおくと,\(P(1)=1=a+b\)。両辺を\(x\)で微分すると\(P'(x)=10x^9=2(x-1)Q(x)+(x-1)^2Q'(x)+a\)となり,\(x=1\)を代入して\(a=P'(1)=10\)。これと\(a+b=1\)より\(b=-9\)。
Point 2BC 1.5.10 \((x-○)^2(x-△)\)で割った余り
条件足りないので,\((x-○)^2(x-△)\)で割った余りの2次式をさらに\((x-○)^2\)で割ってみる!
例)整式\(P(x)\)を\((x-1)^2(x+1)\)で割った余りは2次式なので\(ax^2+bx+c\)とおける。\(P(x)\)を\((x-1)^2\)で割った余りが\(2x-4\),\(P(-1)=-2\)のとき,\(a,b,c\)を求めよ。
\(ax^2+bx+c\)を\((x-1)^2\)で割ると,\(ax^2+bx+c=a(x-1)^2+(2a+b)x+(c-a)\)の形になるので,これが\(2x-4\)と一致することから\(2a+b=2,\ c-a=-4\)。
また,\((x-1)^2(x+1)\)の項は\(x=-1\)で\(0\)になるので,\(a-b+c=P(-1)=-2\)。
これらを解いて,\(\class{mathkuu}{\underline{a=1,\ b=0,\ c=-3}}\)
\(ax^2+bx+c\)を\((x-1)^2\)で割ると,\(ax^2+bx+c=a(x-1)^2+(2a+b)x+(c-a)\)の形になるので,これが\(2x-4\)と一致することから\(2a+b=2,\ c-a=-4\)。
また,\((x-1)^2(x+1)\)の項は\(x=-1\)で\(0\)になるので,\(a-b+c=P(-1)=-2\)。
これらを解いて,\(\class{mathkuu}{\underline{a=1,\ b=0,\ c=-3}}\)
Point 2BC 1.5.11 3乗根の性質
1. 3乗して \(a\) となる数,つまり \(x^3 = a\) の解を \(a\) の3乗根という.
2. \(a\)が0でない実数のとき\(a\)の3乗根は3個で\(\class{mathkuu}{\underline{1}}\)つが実数,\(\class{mathkuu}{\underline{2}}\)つが虚数。(実数は\(\sqrt[3]{a})\)
3. \(\class{mathkuu}{\underline{1}}\)の3乗根のうち,虚数であるものの1つを \(\omega\) とすると,1の3乗根は \(1, \omega, \class{mathkuu}{\underline{\omega^2}}\) で,
\[ \class{mathkuu}{\underline{\omega^3}} = \class{mathkuu}{\underline{1}}, \quad \class{mathkuu}{\underline{\omega^2 + \omega + 1}} = \class{mathkuu}{\underline{0}},\quad \class{mathkuu}{\underline{\omega ^2}}=\ \class{mathkuu}{\underline{\overline{\omega}}}\quad を満たす。 \]
2. \(a\)が0でない実数のとき\(a\)の3乗根は3個で\(\class{mathkuu}{\underline{1}}\)つが実数,\(\class{mathkuu}{\underline{2}}\)つが虚数。(実数は\(\sqrt[3]{a})\)
3. \(\class{mathkuu}{\underline{1}}\)の3乗根のうち,虚数であるものの1つを \(\omega\) とすると,1の3乗根は \(1, \omega, \class{mathkuu}{\underline{\omega^2}}\) で,
\[ \class{mathkuu}{\underline{\omega^3}} = \class{mathkuu}{\underline{1}}, \quad \class{mathkuu}{\underline{\omega^2 + \omega + 1}} = \class{mathkuu}{\underline{0}},\quad \class{mathkuu}{\underline{\omega ^2}}=\ \class{mathkuu}{\underline{\overline{\omega}}}\quad を満たす。 \]
Point 2BC 1.5.12 \(x^2+x+1\)で割った余り
\(整式P(x)を整式f(x)=x^2+x+1で割った余りときたら・・・\)
\[P(x)=(x^2+x+1)Q(x)+ax+bと,\ \class{mathkuu}{\underline{\omega ^3=1}},\ \class{mathkuu}{\underline{\omega ^2+\omega +1 =0}}などを利用せよ!\]
Point 2BC 1.5.13 メンドーな値\((x=\sqrt{a}+b)\)の代入テクニック
\(x=\sqrt{a}+b\)を次数の高い式に代入するのはメンドー・・・
→\[元の式を「x-b=\sqrt{a}の両辺2乗して得られるx^2-2bx+(b^2-a)=0の左辺」で割った式に代入せよ!\]
→\[元の式を「x-b=\sqrt{a}の両辺2乗して得られるx^2-2bx+(b^2-a)=0の左辺」で割った式に代入せよ!\]
例)\(x=\sqrt{2}+1\)のとき,\(x^4-2x^3-x^2+2x+3\)の値を求めよ。
\(x-1=\sqrt{2}\)の両辺を2乗して\(x^2-2x-1=0\)。
\(x^4-2x^3-x^2+2x+3=(x^2-2x-1)\cdot x^2+(2x+3)=\class{mathkuu}{\underline{2\sqrt{2}+5}}\)
\(x-1=\sqrt{2}\)の両辺を2乗して\(x^2-2x-1=0\)。
\(x^4-2x^3-x^2+2x+3=(x^2-2x-1)\cdot x^2+(2x+3)=\class{mathkuu}{\underline{2\sqrt{2}+5}}\)
Point 2BC 1.5.14 \(高次式 P(\alpha)=0 となる \alpha の見つけ方\)
⇒まずは\(0\)や\(\pm 1\)を入れてみる
⇒ダメなら、\(\pm \dfrac{定数項の約数}{最高次の係数の約数}\)
⇒ダメなら、\(\pm \dfrac{定数項の約数}{最高次の係数の約数}\)